嫌いな言葉をこの世界から消す方法

嫌いな言葉、聞いただけで虫唾が走ってなんか熱っぽく語りたくなってしまう言葉ってありません? ぼくの場合、このブログでも散々書き散らしたとおり「嫌なら見るな」「人それぞれ」「じゃあお前がやれよ」が大嫌いなんですが、それにプラスして最近嫌悪度ランキング急上昇してるのが「甘えるな」ですね。

甘えるな! うぜええええええ。なんだろうね。まあ、世の中の人間を「甘えてる人間」「甘えてない人間」に二分したらぼくは間違いなく「甘えてる」側の人間であるという自覚ありますけどね。でも、オマエが甘え人間だから「甘えるな!」て言われて悔しいだけじゃねえの、甘えるな、とドヤ顔でいわれたらぜんぜんちがいますけどwて断言できますよ。たとえばぼくはいわゆるグズですし根暗ですけど、べつに「もっとコミュニケーションとれよ!」といわれても(あんまり)ムカつかない、からね。まあ状況によるけど。

甘えるな! なんなんでしょうね。この使い勝手の良さに本当に腹が立つ。このへんの説明はほんとは中島義道の本読むとめっちゃ詳細に書いてあるんだけど、こういういやらしい言葉をなんの内省もなく垂れ流すバカって要するに、自分の出来ることは相手にも出来るはずという妄想の中にいるんだよね。自分の尺度を押しつけているだけなくせに、まるで相手の中にひそむ弱い心を見抜いたかのように装っているから非常にたちが悪い。

たとえば、鬱病は甘え、みたいな言葉。そういう認識ってとっくに死滅したもんだと思ってたんですけど、今ぐぐってみると大量にそういう意見が見られたので衝撃を受けました。いや、ぼく自身はただのユーウツなひと、無気力なひとですけど、病気で苦しむ人を「甘え」の一言で断罪するって一体どういう神経なんだ。想像力がない、んじゃないんだろうね。自分の想像力が及びえない部分が世界にはある、他者の内面なんて(究極的には)本人と同じ立場にならないとわかりえない、という根本的な認識がないのだ(これを突き詰めた挙句開き直ると「人それぞれ」になるからアレですけども)。まあ、うつアピールしてくるかまってちゃん、メンヘラとか呼ばれるひとたちが一定数いるのは確かなようで、そういう輩は迷惑な存在だとは思いますけどね。「鬱」を騙るのは本当に病気の人に失礼とは思いますけど、ただそういう人々だってやっぱりなんらかの悩みがあるから「おれって鬱なんじゃ…いや鬱にちがいない!!」となったに違いなくて、だから「甘えるな」の一言で突き放してしまうのはやっぱりなんか違うと思う。ウザいんなら、「甘えるな」とかいう定型句で終わらせるんじゃなくどこがウザいのか教えるべきで、あくまで個別的に考えるべき問題だとぼくはおもうんですけども。それにしても、精神病の人って、苦労するだろうなあ。身体障害者とちがって目に見えるものじゃないからね。脳みそに欠陥のある方々に「甘えるな!」とか言われちゃう。甘えてるのはお前だよ、ヴォケ。「甘えるな」って言葉に甘えるなよ。いわゆる思考停止ってやつだね、使いやすい言葉一言吐いて終了、なんの反省も疑いもなし。

ってまあぼくの怒りはどうでもよくて本題に入ると、どうやってこういう言葉を世の中から抹殺するかっていうと、その嫌いな言葉を逆に使いまくるといいじゃないかってついさっきふと思ったんですよね。つまり「甘えるな」の例でいうならもうあらゆる場面でその言葉を吐きまくっちゃう。

「ユーウツ?甘えるな!風邪で学校休むだと?甘えるな!成績が伸び悩んでるだと?甘えるな!目が悪くて黒板が見えない?甘えるな!戦争で腕をなくした?甘えるな!生まれつき体が弱いから体育が出来ない?甘えるな!顔が不細工だから異性にモテない?甘えるな!貧乏だから塾に通えない?甘えるな!コミュ力不足で友達が出来ない?甘えるな!不景気で就職できない?甘えるな!リストラされた?甘えるな!母親が病気で死んだから悲しい?甘えるな!眠い?甘えるな!お腹すいた?甘えるな!ムラムラする?甘えるな!」
これにはいくつか効能があって、たとえばこうやって連続して使うことで「甘えるな」という言葉から(自分の中で)意味をはく奪しちゃうんですよ。何度も何度も、繰り返ししつこく使用すると「言葉」が単なる文字の連なりとしか見えなくなって、要するにゲシュタルト崩壊がおきるってわけ。

で、あともう一つが、こうやって理不尽に「甘えるな」を乱用しまくることで周囲に「甘えるな」という言葉の持つ臭みについて考えるきっかけを与える、というか投げつける。たとえばほら、空気読めって言葉最近きかなくないですか?あれ「KY」とかいう略語が発生してから一気に盛り上がって、そこがピークでしたよね。それ以来急激に口にされなくなった。自分の都合で「空気読め」とか言うバカがその言葉を乱用しすぎて、社会問題としてテレビにも取り上げられるようになった結果でしょうね。すると反動で今度は狂ったように「空気読め」叩きが始まって、あげくソフトバンクのCMのあの犬までもが「空気なんて読むな」とか言い始める始末(笑) 今度は「ありのままの自分!」の登場です。もう頭悪いとしか形容しようがない。もういいよ。

だから、中途半端じゃダメなんです。徹底して使いまくって、その言葉が発する強烈な臭気をあたり一面に撒き散らさないと気付かれない。「甘えるな」という言葉そのものは本当は悪くない、実際に甘えてる調子のいいバカはいるはずだし、自分自身を戒めるために使うんならまあいい言葉なんじゃないかと思うけど。ただそれを、何にも考えずに他人を切り捨てるために使うバカが一定数いるのなら、だったらもう、言葉狩りでもなんでもしちゃえば、ってお話。

まあ、まわりが「この臭気の元はなんだろう?」と考える人たちじゃない場合、こいつ頭悪くね?っておもわれて終了ですけどね ははは